2017年1月から大幅な制度変更により基本的に誰でも加入が可能になった確定拠出年金。
確定拠出年金の愛称もiDeCo(イデコ)となり本格的な普及の年になると思います。
資産形成に重要な制度である確定拠出年金制度
運用中の利点として
- 積立金が全額、所得控除
- 配当・売却益が非課税
- 低コストなインデックスファンドがある
大きく3つの利点があります
今回は積立拠出金の全額控除をリターンに換算すると年利どのくらいになるか、結構間違えている方も多いので記事にしたいと思います。
法改正により新たに2690万人が個人型確定拠出年金に加入可能となる
掛け金が全額所得控除になるなど他の制度より有利
参考記事
そんな中、確定拠出年金を解説した記事や書籍でも間違って記事にしていることがあるので誤解のないようにして下さい。
それは
確定拠出年金の所得税控除を年利換算にすると15%のリターンが取れるって本当か?
確定拠出年金は拠出金がすべて税控除されるのですが、その割合を年利15%や年利20%に相当してお得だと言っている記事がありますが、
これは、明らかに間違いです。
年利15%の数字がどこから出てきたか?
確定拠出年金制度は積立金はすべて所得税控除として節税できます
この最低税率
所得税5%+住民税10%=15%の所得税控除をそのまま年利に表していることになる
仮に年間50万円積立を行うとすると
- 税率15%・・・75,000円の節税
- 税率20%・・・100,000円の節税
これを10年・20年続けていくとすると
10年の場合
- 税率15%・・・・年7.5万円×10年 75万円の節税
- 税率20%・・・・年10万円×10年 100万円の節税
同様に 20年の場合
- 税率15%・・・・年7.5万円×20年 150万円の節税
- 税率20%・・・・年10万円×20年 200万円の節税
このようになるのだが、直感的に年利15%のリターンがあるほど利益がないのはすぐわかると思う
50万円を毎年積み立てて15%のリターンがあれば
10年で1400万円、20年で7,000万円に増えていることになる
しかし15%の税控除の10年間の利益は75万円、20年で150万円のみである。
明らかに控除の割合をそのまま年利15%のリターンというのは無理がありますね。
それでは所得控除をリターンで表すと何%になるのか?
この問題は別に難しく考える必要もありません。
税控除15%で10年運用場合
単純に
425万円が10年後に500万円になりました 年利はいくらか?
これだけのこと
計算式は複雑だか、今はネットで複利計算をしてくれるサイトがいくらでもあるのでそこを利用して計算すればいいと思う
私のオススメはこちらのサイト
- 生活や実務に役立つ計算サイト 複利計算(元金)
この場合のリターンは年利1.63%になる
すべての税率と運用期間による年利を表にしてみたので確認していただきたい
所得税 (所得税+住民税) | 5年 | 10年 | 20年 | 30年 |
15% | 3.3% | 1.63% | 0.99% | 0.54% |
20% | 4.46% | 2.25% | 1.08% | 0.78% |
30% | 7.39% | 3.48% | 1.79% | 1.19% |
33% | 8.33% | 4.08% | 2.02% | 1.34% |
43% | 11.9% | 5.78% | 3.48% | 1.89% |
50% | 14.8% | 7.17% | 3.52% | 2.33% |
55% | 17.3% | 8.31% | 4.07% | 2.69% |
注意)所得税の税率は平成27年以降の新制度で表示している
このように運用期間が長くなると税控除のリターンが低くなる
税率15%〜20%の方で20年運用すると1%ほどのリターン向上になる
30年の長期になると0.5%〜0.8%弱と運用期間が長くなればなるほど税控除の効果が少なくなることが理解できると思う
上記の表は割引債のリターンの関係と同じ
A%の割引債をX年運用するとリターンはいくらになるか?
逆に高額所得者にとっては無リスクで3%ほどのリターンを得ることができるとても有利な制度となっている
ここで大切なこと
積立金が全額所得控除できる制度である確定拠出年金制度は節税としてとてもお得ではあるが
税率15%〜20%で20年運用するとリターン向上は実質年利1%前後にしかならない
例えば企業年金のないサラリーマンの上限 月23,000円(年間276,000円)を20年積立続けたとします
すると 276,000円×20年 552万円 所得控除が20%とすると
およそ110万円の税金が戻ってくることになります
とてもお得なんですが、複利で見ると1%ほどの運用リターンの引き上げにしかならなことになります
控除の実質リターンは1%ほどの引き上げにしかならない。
最大の注意点は
非課税を過剰に期待して高コストの金融商品を選ぶと税控除分の利益が無くなってしまう危険もある
税控除など通常の投資より有利だからといって、高コストな投資信託などを選ぶと有利な制度も台無しになってしまう
確定拠出年金の運用サイトの中には1%以上・・・酷い商品の中には信託報酬が年2%近くのものもあります
私が一押しにオススメしている金融機関であるSBI証券の中にも
ハーベスト アジア フロンティア株式ファンド 信託報酬年 2.0972%
信託報酬が2%を超えるものがあります
このような商品を選んで長期で運用をしてしまうと、掛け金の所得控除額を上回る手数料を支払ってしまうことになる可能性があります
年間2%もの手数料を払うといことは税率15%〜20%の人が20年以上運営して得ることができる税控除分のリターンの2倍にもなってしまう。
これでは何のために確定拠出年金(イデコ)の制度を利用しているのかわかりません。
このような商品を選んで長期で運用をしてしまうと、掛け金の所得控除額を上回る手数料を支払ってしまうことになる可能性があります
確定拠出年金制度は
- 掛け金が全額所得控除になる
- 運用益・配当は非課税
通常の証券投資より優遇されているからといって、特別な投資法が存在するわけではありません
そもそも、株式などのリスク資産の長期投資のリターンはそれほど高いわけでなく
大体5%ぐらい
リスクは最大でも50%・・つまり半分になる可能も十分ある
課税されないから高コストな商品に投資をしたり、売っても利益は非課税だからと頻繁にタイミング投資をしていると、結局、通常の投資と同じようにリターンが下がる結果になっているかもしれません。
参考記事
確定拠出年金制度が税制的に有利だからと言って、投資法を変える必要は全くないと考えるべきです
- 低コストな金融商品を
- コツコツと積立ていく
一つ違いを言うなら、利益に課税されない有利な点を利用する
確定拠出年金口座内では資産をすべて株式などのリスク資産にする
参考記事
その他に確定拠出年金の制度として知っておいて損がないことは。
自己破産や生活保護などの制度を利用した時は確定拠出年金はどうなるのか?
反対に確定拠出年金内にある銀行や保険会社、証券会社が倒産したらどうなるか?
知っていて損はないと思います。
「確定拠出年金口座」で運用するなら次の3つの証券会社から
ブログ主が利用している金融機関
確定拠出年金制度でも資産運用はインデックス投資でも資産運用がそのまま利用できます
有利な制度を利用して資産形成をしていきましょう
正しいお金の本もしっかり読むことをおすすめします。お金のリテラシーは一生ものです。
コメント
確定拠出年金は積立で開始当初から投資資金全額が拘束されているわけではないので、エクセルのRATE関数を使用して利回りを出したほうがより正しい数値になります。
by ちゃこし 2015年10月17日 11:16
長期なんで定期預金を運用していますが、改悪されて70歳から解約になったり、途中でやっぱ税金かけますわとかなったり、長期で他人と金銭契約を結ぶのはリスクが多いよね。
by フライ 2017年1月24日 00:20
エクセルでいろいろ計算してたんですが、ふと検索して辿りつきました。
素晴らしいですね。
私の感じていた違和感が綺麗にまとめられています。
ですよね!って感じです。
by ひろ 2017年2月17日 16:52