
金利が上昇して株式投資だけでなく債券投資にも厳しい時期が続いています。
そんな中インフレに強いと言われる物価連動債券(インフレ連動債券)という投資家に強い味方になる債券がありました。
去年の8月にインフレ連動債券ETF、iシェアーズ 米国物価連動国債 ETF(TIP)に一年投資を続けてきましたが、結果はどうなったのでしょうか。
それではどうぞ
インフレに強い債券(iシェアーズ 米国物価連動国債 ETF(TIP))へ投資
去年の8月にインフレ連動債券、iシェアーズ 米国物価連動国債 ETF(TIP)へ投資をしました。
ティッカー | 商品名 | 購入日 | 購入枚数 | 購入価格(ドル) | 購入価格(円) |
TIP | iシェアーズ 米国物価連動国債 ETF | 2021/08/06 | 71 | 9,189 (129.43✖️71) | 1,009,837 (ドル円109.89) |
TIP | 2021/08/24 | 73 | 9,417 (129✖️73) | 1,033,704 (ドル円109.77) |
|
売却 | |||||
TIP | 2022/01/05 | 9 | 1,155 (128.372✖️9) | 134,078 (ドル円116.05) |
|
2022/1/5価格 | |||||
135 | 17,330 (128.372✖️135) | 2,011,172 (ドル円116.05) |
|||
2022/9/10価格 | |||||
TIP | 135 | 14,998 (111.1✖️135) | 2,156,862 (ドル円143.81) |
8月に2回に分けて一株およそ129ドルで購入。
今年の最初の営業日にリバランスとして一部売却、135株となります。
価格を見てわかるように
去年は一株129ドルでしたが9/9現在は111ドルとおよそ14%下落をしています。
ただし円建てだと7%ほどのプラス。
これは今年に入って20%以上の円安によるためです。
円建てだと分かりにくいのでドル建てで見ていきます。
つまり今年に入って-14%下落している。
グーグルファイナンスで調べると今年に入って-17%と大幅下落になっています。
ここで疑問・・
あれ、インフレ連動債券ってインフレに強い債券じゃなかったの?
インフレ連動債券とは
ここでインフレ連動債券を簡単に説明すると
物価連動債(インフレ連動債)は、物価上昇率(インフレ率)に応じて、元本が調整される債券です。通常の固定利付債の場合、元本とクーポン利率は固定であり、利払い額および償還額は変動しないため、物価が上昇すれば、実質ベースでみた(物価上昇分を割り引いた実質的な)債券の価値は低下してしまいます。一方、物価連動債の場合、クーポン利率は固定であるものの、物価上昇に連動して元本が増加するため、利払い額や償還額が増加します。従って物価連動債は、インフレがおきても実質的な価値が低下しない債券、といえます。
米国の場合、消費者物価指数CPIに連動して元本価格が決まるようです。
ざっくりですが例えば元本100ドルクーポン1ドルの物価連動債券があるとします。
物価が10%上がると通常の債券は元本が下がってクーポン利回りが上がりますが、インフレ連動債券は元本が110ドルと上がってインフレ分を調整されます。
物価連動債券はインフレリスクを発行体が追うのでその分通常債券に比べてクーポン価格が安いという利点もあります。
異常に高い債券利回り
今年に入ってTIPの利回りが異常に高い水準となっています。
年 | 配当額(ドル) | 利回り(%) | ||
2022 | 6.9281 | 6.24 | ||
2021 | 5.528623 | 4.98 | ||
2020 | 1.49174 | 1.33 | ||
2019 | 2.044128 | 1.84 |
各年の利回りは今現在のETFの価格111ドルで計算しているので完全に正確ではありません。
今年は9月の段階で利回り6.2%となっています。
ほぼ毎月分配があるのでこのペースだと利回り10%に届くかもしれません。
ETFの下落が-17%で利回り6.2%なので実質-10%ほどの下落とも言えます。
このように高い配当で下落分をカバーしています。
しかしインフレ分を価格に上乗せするインフレ連動債券の価格がなぜこれほど下落するのか?
インフレ連動債券も債券価格は下落する
実は物価連動債券でもクーポン価格がある以上債券自体の価格は通常の債券のようにインフレにより連動します。
例えば利回りが去年1%→3%に通常の債券利回りが上昇すると(債券価格が下落)同じようにインフレ連動債券も下落します。
つまり
インフレにより価格の上乗せが起こると同時にとインフレによる債券価格の下落も起こると言うことです。
この計算は複雑で私にはさっぱり分からないないのですが・・・・
でも・・・
でも・・・
それって結局普通の債券と変わらなくねぇw
とも思うのですが・・・どうですがね?
実はその辺のインフレ連動債券についてしっかり説明しているサイトや動画が非常に少ないのですが、多分この動画が一番詳しく説明していると思います。
この動画が正しいとすると
インフレ連動債券は
名目金利ー期待インフレ率=プラスだと物価連動債券の価格は下落
名目金利ー期待インフレ率=マイナスだと物価連動債券の価格は上昇
このようになります。
今は
10年国債利回り3.31%ー期待インフレ率(BEI)2.42%=+0.89%
通常の債券価格より将来の期待インフレ率が高い時にインフレ連動債券の価格は上昇するとのことで現在は下落する可能性高いと言うことになります。
景気後退で債券利回りが下がり(通常の債券価格は上昇)、マーケットが将来の景気回復を見越して期待インフレ率が上昇する、このようになるとインフレ連動債券が上昇する・・・
って・・・・難しいこと言ってるけど
それって
普通の債券と同じじゃねぇの
って思うのですが、どう思います。
実はプロの投資家の中にインフレ連動債券のことを
「放火魔が火災保険を売るようなもの」
と揶揄してボックリ商品だと非難する人もいました。(どのサイトか忘れました)
米インフレ連動債券は1995年から発売を開始された歴史の浅い商品で、まだ本格的な物価上昇を経験していません。
ある意味、今回が初めてと言えます。
本当にインフレに強い商品なのか?それともただの欠陥商品なのか、いずれわかることでしょう。
債券ETFのリターン
ここで8月末までですが、米国の他の債券ETFの今年のリターンを比較します。
これには配当込みの実質利回りです。
ティッカー | 概要 | 利回り(%) |
BSV | 1ー5年の米短期債券 | -4.91 |
IEF | 7-10年の米中期債券 | -11.49 |
TLT | 20年以上の米超長期債券 | -23.63 |
EDV | 20年以上の米割引超長期債券 | -30.18 |
BND | 米総合債券 | -10.78 |
VTIP | 0-5年の米短期インフレ連動債券 | -1.29 |
TIP | 米総合インフレ連動債券 | -8.54 |
VOO | SP500連動 | -16.2 |
QQQ | ナスダック連動 | -25.54 |
今年は米国債券投資にとって厳しい年になっていますがインフレ連動債券の今年8月末までの実質リターンは-8.5%と米7-10年国債に投資するETFや米国債券に総合的に投資するETFが-11%、-10.7%と比べるとやや良い成績になっていますが・・・・
私個人的にはインフレ期にインフレに本当に強い商品なのかよく分かりませんw
ただ短期インフレ連動債券は-1.29%とほとんど下がっていないので短期の方が良いのかもしれません。
まとめ
配当が異常に多いのですが、債券価格自体がそれ以上に下がり、インフレ連動債券って普通の債券とどこが違うの状態となっています。
私はあまり詳しくないので、専門家の中には一緒ではないと言うかもしれませんが、債券価格の計算も複雑でよく分かりません。
その辺は私の頭が悪いだけかもしれませんが・・・
インフレ連動債券自体に投資をすることを薦めるかと言われれば・・・
うーーーん、そんなに利点ないんじゃないのかなと私は思います。
それなら株と同じで債券も世界分散投資でいいような気もします。
米国債券投資ならEDVの利回りが3.5%を超えてきたら検討してもいいかなぐらいです。
急激な円安で日本人投資家は今回は皮肉にも債券価格下落以上に為替安の恩恵を受けていることになります。(恩恵と言っていいのかは分かりませんが)
今回はインフレに強くないインフレ連動債券投資についてでした。
コメント
こんにちわ。
物価連動債は、実質金利の低下局面や
スタグフレーションには、通常の債権よりは強いかも?
と割り切るしかなさそうですね。ゴールドより変動が小さいですね。
by かず 2022年9月15日 15:44
物価連動債券って本当のところどうなんでしょうね?よくわからないです。
コメントありがとうございます。
by cub 2022年9月15日 18:11